長野県(特に佐久地方)は鯉の養殖が盛んな地域です。佐久市には鯉料理の専門店がたくさんありますし、スーパーマーケットには鯉のアライや鯉こくや鯉の甘露煮にするための切り身が販売されています。県外のお客様の中には観賞用の鯉(錦鯉)のイメージがあるようで、「鯉を食す?!」ということが理解できない方もいらっしゃるようです。
●郷土料理「鯉こく」とは?
鯉こくとは、鯉の身を輪切りにして味噌で煮た、味噌汁のような煮込み料理の事を言います。鯉こくは、他の魚類の味噌煮料理とともに江戸時代前まで盛んに食べられていました。伊勢神宮の神官に長野県佐久市の地域で捕れた鯉を使用した鯉こくが献上されたという歴史があります。
●鯉こくの味は?
鯉と味噌はベストマッチ。鯉こくも、味噌が味の要です。時間をかけて煮込んだ鯉こくは、鯉のもつ臭みが消え、鯉の脂が味噌と混じり合い深い味わいとなります。鯉の身はふんわりとした白身魚のような食感です。
↓ 我が家の「鯉こく」は、お正月の3日程煮込み続けるため、作り立てなら身はしっかりとしていて濃いめの味噌汁のよう。数日煮込んだものになると、臭みなく身も柔らかく味が染みていて、甘煮のような味わいでご飯が進みます。
●鯉は体に良い?
・母乳の出がよくなる
鯉は、薬効が多い魚として知られていて、「薬用魚」とも呼ばれています。「乳汁を下し、腫を消す」という言葉があり、ほかの魚類と同様にたんぱく質が含まれているため、鯉を食べることで良質のたんぱく質が母乳を作る働きを強めてくれる。
・目にいい
鯉に含まれている栄養素の中のひとつ、ルテイン。このルテインは、目の網膜に作用して、酸化を助けてくれる働きがあります。網膜が酸化した場合の主な症状としては目の疲れ、目の奥の痛み、目からくる頭痛や肩こりなどです。これらの症状をルテインは抑える作用があり、鯉は、そのルテインを主に皮の部分に含んでいます。
・肝臓を守ってくれる
アミノ酸のひとつタウリンは、肝臓を強くしてくれる働きがあります。そのタウリン、実は鯉を煮た場合の煮汁の40%にも含まれているのです!そのため、鯉は二日酔いの時や、お酒による脂肪肝の予防に優れています。
・むくみや腎臓にいい
鯉は古くから腎臓病によいと言われています。特に、腎臓病でむくんでしまった場合、鯉を食べると、水分が一気に外に出されむくみが解消されるのです。
腎臓が悪くなると、尿の中にたんぱく質が出てしまいます。そして水分だけが体の中に残り、体がむくむ結果に。鯉を食べることで必要なたんぱく質が補え、かつ水分を外に出してくれます。鯉が妊娠中の女性によいと言われているのには、鯉が水分を排出してくれる働きを持つからなのですね。
郷土料理として慣れ親しんできた鯉ですが、たくさん良いところがあるからこそ続いていることを実感しました。
機会があればぜひ食べてみて下さい。